「乳がんのホルモン療法には毎月いくらかかるの?」「5年、10年と続けると総額はいくらになる?」と気になっている人もいるでしょう。
乳がんのホルモン療法(内分泌療法)は、ホルモン受容体陽性の乳がんに行われる薬物療法です。標準治療として行う場合は公的医療保険の対象とされていますが、閉経前・閉経後で使う薬が異なり、内服のみか注射を併用するかでも負担額は変わります。術後の再発予防では長期間続けることが多いため、薬剤費に加えて通院・調剤・定期検査の費用も見込んでおく必要があります。
そこで本記事では、2026年8月時点の薬価や診療報酬をもとに、乳がんのホルモン療法にかかる薬剤費 ・注射代、5年・10年の費用総額、自己負担と追加費用、公的制度について解説します。
【この記事の要点】
| ・内服薬のみ:薬剤費は30日で数百〜1,000円程度(3割負担・参考値) ・注射併用:注射1回あたり数千〜1万円台が加わる(4週または12〜13週ごと) ・5年間の薬剤費:内服のみで約1.5万〜5.6万円、注射5年併用の例で約21万円 ・高額療養費制度や医療費控除など公的制度で負担軽減できる場合がある ・試算例:70歳未満・3割負担(参考値)という一般的な条件で薬剤費のみを試算すると、内服薬は30日で数百〜1,000円程度、卵巣機能を抑える注射は1回数千〜1万円台です。実際の金額は薬剤や自己負担割合によって異なります 3割負担(参考値)の薬剤費だけを見ると、内服薬は30日で数百〜1,000円程度、卵巣機能を抑える注射は1回数千〜1万円台が一つの目安です |
本記事は2026年8月時点の公的情報をもとに作成しています。治療内容や薬剤、費用、副作用の現れ方は患者ごとに異なります。実際の治療方針や自己負担額については、主治医や医療機関、加入している健康保険などにご確認ください。
この記事の内容
乳がんのホルモン療法の費用はいくら?月額・総額の目安

ここでは、乳がんのホルモン療法の治療期間と保険適用の考え方、費用の内訳、薬剤別の金額、5年・10年続けた場合の総額を解説します。
ホルモン受容体陽性乳がんの治療期間と保険適用
乳がんのホルモン療法は、女性ホルモンの影響を受けて増殖する「ホルモン受容体陽性」の乳がんに行う治療で、「内分泌療法」とも呼ばれます。手術後の再発予防では、5年間続ける治療が多くの患者さんが選択される治療期間の一つとされています。再発リスクなどを踏まえ計7〜10年間に延長することもあります。
使用する薬は閉経状況で異なり、閉経前ではタモキシフェンなどの飲み薬(必要に応じてLH-RHアゴニスト製剤の注射を併用)、閉経後ではアロマターゼ阻害薬が主に使われます。
承認された薬を適応の範囲内で使う治療は公的医療保険の対象で、自己負担割合は年齢や所得によって1〜3割です。一方、国内未承認薬や適応外使用は原則自己負担となります。
費用の内訳は薬剤費・再診料・調剤料・定期検査費の4つ

ホルモン療法の通院費は、薬剤費だけでは決まりません。長期間の支出を見積もるときは、次の4つに分けて考えると整理しやすくなります。
| 費用 | 内容 | 金額を見るときのポイント |
| 薬剤費 | タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、LH-RHアゴニスト製剤など | 薬剤・先発品か後発品か・投与間隔で変わる |
| 再診料 | 定期受診時の基本的な診察料 | 2026年8月時点の基本の再診料は76点。3割負担(参考値)なら単純計算で228円 |
| 調剤料など | 保険薬局での調剤に関する費用 | 処方日数や調剤内容、薬局で算定する項目によって変わる |
| 定期検査費 | 血液検査、画像検査、骨密度検査など | 薬剤や症状、治療経過に応じて必要な検査が異なる |
参考:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」/厚生労働省「診療報酬情報提供サービス」
この表から分かるように、薬価が安い内服薬でも会計額がそのまま薬剤費だけになるわけではありません。実際の総額は、受診回数と検査内容まで含めて確認すると把握しやすくなります。
【薬剤別】ホルモン療法の薬剤費・注射代の費用一覧
ホルモン療法の薬剤費は、内服薬と注射薬で大きく異なります。以下は、厚生労働省の2026年8月時点の薬価基準をもとにした目安です。
【試算条件】
- 70歳未満で窓口負担3割と仮定
- 内服薬は代表的な用量を1日1錠、30日分として計算
- 注射薬は1回分の薬剤価格で計算
- 再診料、処方箋料、調剤料、注射の手技料、検査費などは含めない
- 3割負担(参考値)は薬価からの単純計算で、実際の窓口請求額とは一致しないことがある
| 薬剤 | 分類・投与の例 | 2026年8月時点の薬価 | 3割負担(参考値) |
| タモキシフェン錠20mg(後発品の薬価例) | 抗エストロゲン薬・1日1錠 | 27.0円/錠 | 約243円/30日 |
| ノルバデックス錠20mg | 抗エストロゲン薬・1日1錠 | 40.5円/錠 | 約365円/30日 |
| アナストロゾール錠1mg「サワイ」など | アロマターゼ阻害薬・1日1錠 | 50.8円/錠 | 約457円/30日 |
| アリミデックス錠1mg | アロマターゼ阻害薬・1日1錠 | 107.5円/錠 | 約968円/30日 |
| レトロゾール錠2.5mg「トーワ」など | アロマターゼ阻害薬・1日1錠 | 68.9円/錠 | 約620円/30日 |
| フェマーラ錠2.5mg | アロマターゼ阻害薬・1日1錠 | 127.1円/錠 | 約1,144円/30日 |
| エキセメスタン錠25mg(後発品の薬価例) | アロマターゼ阻害薬・1日1錠 | 102.4円/錠 | 約922円/30日 |
| アロマシン錠25mg | アロマターゼ阻害薬・1日1錠 | 111.4円/錠 | 約1,003円/30日 |
| ゾラデックス3.6mgデポ | LH-RHアゴニスト・4週ごとの例 | 19,869円/筒 | 約5,961円/回 |
| ゾラデックスLA10.8mgデポ | LH-RHアゴニスト・12〜13週ごと | 32,175円/筒 | 約9,653円/回 |
| リュープロレリン酢酸塩注射用キット3.75mg「NP」 | LH-RHアゴニスト・4週ごとの例・後発品 | 16,726円/キット | 約5,018円/回 |
| リュープロレリン酢酸塩注射用キット3.75mg「あすか」 | LH-RHアゴニスト・4週ごとの例・後発品 | 17,056円/キット | 約5,117円/回 |
| リュープリン注射用キット3.75mg | LH-RHアゴニスト・4週ごとの例・先発品 | 21,354円/キット | 約6,406円/回 |
| リュープロレリン酢酸塩SR注射用キット11.25mg「あすか」 | LH-RHアゴニスト・12週ごとの例・後発品 | 22,970円/キット | 約6,891円/回 |
| リュープロレリン酢酸塩SR注射用キット11.25mg「NP」 | LH-RHアゴニスト・12週ごとの例・後発品 | 23,774円/キット | 約7,132円/回 |
| リュープリンSR注射用キット11.25mg | LH-RHアゴニスト・12週ごとの例・先発品 | 40,500円/キット | 約12,150円/回 |
参考:厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年8月13日適用)」/PMDA「ゾラデックスLA10.8mgデポ 添付文書」
内服薬は1回の支払いが比較的小さくても、治療が5年、10年と続けば支出は積み上がります。閉経前で卵巣機能を抑える注射を併用する治療では、内服薬のみより薬剤費が高くなります。
また、リュープロレリン製剤のように先発品と後発品がある薬では、使用する製品によって薬剤費にも差が出ます。表に記載した3割負担(参考値)は薬価から計算した薬剤部分のみの金額で、実際には診察や注射の手技などの費用も加わります。
5年・10年続けた場合の費用総額をシミュレーション
ここで示す5年・10年の試算は、主に術後の再発予防としてホルモン療法を続けるケースを想定しています。進行・再発乳がんや分子標的薬を併用する治療では、治療期間も費用もこの試算とは異なります。
また、ホルモン療法の総額は薬剤費と通院・調剤・検査費を分けて考えるのが実用的です。まずは治療期間に応じて計算しやすい内服薬の薬剤費を試算します。
【試算条件】
- 2026年8月時点の薬価を使用
- 70歳未満・窓口負担3割と仮定
- 1日1錠を365日服用し、休薬・中断・薬剤変更はないものとする
- 後発品は前の表で示した薬価例を使用
- 再診料、処方箋料、調剤料、検査費、交通費は含めない
- 現在の単価が変わらないと仮定した試算で、将来の薬価改定や診療報酬改定は反映しない
- 以下の試算は2026年8月時点の薬価に基づく参考値です。実際の費用は薬価改定や個別の治療計画によって異なります
| 内服薬の例 | 1年間の薬剤費自己負担 | 5年間 | 10年間 |
| タモキシフェン20mg(薬価27.0円) | 約2,957円 | 約14,783円 | 約29,565円 |
| アナストロゾール1mg(薬価50.8円) | 約5,563円 | 約27,813円 | 約55,626円 |
| レトロゾール2.5mg(薬価68.9円) | 約7,545円 | 約37,723円 | 約75,446円 |
| エキセメスタン25mg(薬価102.4円) | 約11,213円 | 約56,064円 | 約112,128円 |
参考:厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年8月13日適用)」
内服薬のみであれば、5年間の薬剤費は上記の例で約1万5,000〜5万6,000円です。ただし、使う薬や途中での薬剤変更によって金額は変わります。
注射を併用すると費用はさらに増えます。たとえばゾラデックスLA10.8mgを13週ごと、年4回と仮定すると、3割負担(参考値)の薬剤費は年間約3万8,610円です。
【試算条件】
- ゾラデックスLA10.8mgを年4回投与すると仮定
- 1回の3割負担(参考値)を約9,653円として計算
- タモキシフェン20mgは薬価27.0円の後発品を1日1錠服用すると仮定
- 診察・調剤・検査・注射手技などの費用は含めない
- 2026年8月時点の薬価が変わらないものとして計算
| 治療の代表例 | 薬剤費の自己負担目安 |
| 内服薬(タモキシフェン)のみを5年間 | 約1万4,783円 |
| 内服薬(タモキシフェン)5年間+注射(ゾラデックスLA)2年間 | 約9万2,003円 |
| 内服薬(タモキシフェン)5年間+注射(ゾラデックスLA)5年間 | 約20万7,833円 |
注射を何年間続けるかによって総額は大きく変わります。LH-RHアゴニスト製剤の使用期間は患者ごとの治療計画によって異なるため、「ホルモン療法は5年間で一律いくら」と考えるのではなく、内服のみなのか、注射を何年間併用するのかを分けて見積もることが大切です。
また、3か月ごとに年4回受診し、基本の再診料76点だけを加えると、3割負担(参考値)では5年間で約4,560円、10年間で約9,120円が加わります。実際には調剤料や必要に応じた検査費なども加わるため、薬剤費の長期試算=実際に支払う総額ではありません。
乳がんのホルモン療法の費用を抑える3つの方法

ホルモン療法の費用は、治療効果や安全性を優先したうえで、薬剤や受診方法について確認することで負担が変わることがあります。ここでは確認しておきたい3つのポイントを解説します。
①ジェネリック医薬品(後発医薬品)への変更を確認する
タモキシフェンやアロマターゼ阻害薬、リュープロレリン製剤などにはジェネリック医薬品(後発医薬品)があります。先発品と後発品では薬価に差があるため、変更できるかを医師や薬剤師に確認しましょう。
なお、後発医薬品がある先発医薬品のうち選定療養の対象となる薬を患者の希望で選ぶ場合、2026年6月からは原則として先発品と最も高い後発品との価格差の2分の1相当が「特別の料金」となり、消費税を含めて通常の自己負担とは別に支払います。
医療上の必要性がある場合や後発医薬品の供給が難しい場合などは対象外です。先発品を希望する場合は、この選定療養に該当するかも確認しておくと、会計時の負担を見積もりやすくなります。
②持続型の注射薬が使えるか確認する
LH-RHアゴニスト製剤には、4週ごとに投与する製剤と12週前後ごとに投与する持続型製剤があります。たとえばゾラデックスLA10.8mgデポの承認用法は12〜13週ごとに1回です。
4週製剤と持続型製剤では、薬価だけでなく通院回数も異なります。通院回数が減れば、再診料などの費用や通院にかかる時間・交通費も変わります。治療上選べるかを主治医に確認したうえで比較するとよいでしょう。
③通院頻度と処方日数を整理する
内服薬は基本的に毎日服用しますが、受診や処方の間隔に全国一律の決まりはなく、状態が安定している時期は1〜3か月ごとに受診・処方を受けるケースがあります。実際の間隔は治療経過や医療機関の方針で決まります。
通院1回ごとに再診料などがかかるため、通院頻度は費用にも直結します。注射日と診察日を同日にできるか、内服薬を何日分処方するかによって年間の通院回数は変わるため、次回受診までの処方日数や検査予定を主治医に確認しておきましょう。
薬剤費だけでなく交通費や通院にかかる時間まで含めて考えると、治療生活の見通しを立てやすくなります。
乳がんの治療費が払えないと感じたら?負担を軽くする公的制度

乳がんの治療費が家計の負担になるときは、医療費そのものを抑える制度と収入減を補う制度を分けて確認しましょう。
高額療養費制度は内服薬のみでは月額上限に届きにくい
高額療養費制度は、保険診療として行われるホルモン療法も対象です。 ただし、タモキシフェンやアロマターゼ阻害薬など、比較的薬剤費の低い内服薬のみを続ける月は、自己負担額が月ごとの上限まで届きにくいと考えられます。
一方、手術や入院、高額な薬物療法が重なった月や、ホルモン療法と分子標的薬などを併用する治療では、高額療養費制度の対象になることがあります。自己負担の上限額は年齢や所得によって異なるため、その月にかかった保険診療の医療費をまとめて確認しましょう。
なお、高額療養費制度には月ごとの自己負担上限のほか、年間上限や多数回該当、世帯で医療費を合算できる仕組みなどがあります。上限額の計算方法や申請方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
高額療養費制度とは?自己負担額や年間上限、申請方法をわかりやすく解説
医療費控除は長期のホルモン療法と相性がよい
医療費控除は、1月1日から12月31日までに支払った医療費を年単位で集計する所得控除です。ホルモン療法は長期間続くため、薬剤費や診察・検査費をその年のほかの医療費とあわせて確認できます。
通常の医療費控除額は、支払った医療費から保険金などで補てんされた金額と10万円を差し引いて計算します。その年の総所得金額等が200万円未満なら、10万円ではなく総所得金額等の5%を差し引きます。控除額の上限は200万円です。
治療のために通常必要な電車・バスなどの通院費も対象に含まれます。一方、医療費控除は医療費そのものが全額戻る制度ではなく、所得から一定額を差し引く仕組みです。領収書や医療費通知、通院交通費を年ごとに整理しておくと確認しやすくなります。
参考:国税庁「医療費を支払ったとき」/国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」
傷病手当金とがん相談支援センター
治療で働けず収入が減ったときは、医療費の制度だけでなく傷病手当金も確認できます。協会けんぽでは、業務外の病気やけがで療養し、働けず、連続3日間の待期を含め4日以上休み、給与を受けられないなどの要件を満たす被保険者が対象です。支給額は原則として標準報酬月額を基に算出した1日当たり額の3分の2で、支給開始日から通算1年6か月が上限です。
また、全国のがん診療連携拠点病院などに設置される「がん相談支援センター」では、治療だけでなく医療費や仕事、利用できる支援制度についても無料で相談できます。その病院に通院していない人や家族でも利用できるため、制度の探し方が分からないときの相談先になります。
乳がんのホルモン療法の副作用と対処にかかる費用

ここでは、ホルモン療法でみられる主な副作用と経過、副作用への対応で追加される費用を整理します。
主な副作用の一覧:いつからいつまで続くか
ホルモン療法の副作用は、使用する薬によって現れやすい症状が異なります。治療開始後から症状がみられることがありますが、いつまで続くかは症状の種類や薬剤、患者の状態によって異なり、一律には決まりません。
| 薬剤・治療 | 主な副作用・注意したい症状 | 時期や経過の考え方 |
| タモキシフェンなどの抗エストロゲン薬 | ほてり・発汗、悪心、性器出血、月経の変化など。血栓塞栓症にも注意が必要 | 治療開始後からみられる。症状の程度や続く期間には個人差がある |
| アロマターゼ阻害薬 | 関節痛・こわばり、ほてり、腟の乾燥、骨密度低下・骨粗しょう症など | 治療中にみられる。骨への影響は長期的な確認が必要になる |
| LH-RHアゴニスト製剤 | ほてり・発汗、不眠、気分の変化、不正出血、腟の乾燥、関節痛、骨密度低下、注射部位の反応など | 治療開始後からみられる。長期投与では骨密度にも注意する |
参考:国立がん研究センター「乳がん 治療」/日本乳癌学会「Q16 乳がん治療に使われる薬剤にはどのようなものがありますか」/PMDA「タモキシフェン錠 添付文書」
特にタモキシフェンでは、肺塞栓症や下肢静脈血栓症などの血栓塞栓症が重大な副作用として記載されています。また、不正出血などの異常な婦人科症状がみられたときは、検査など適切な対応が必要とされています。
突然の息苦しさや胸の痛み、片脚の腫れ・痛み、不正出血など普段と異なる症状があるときは、次回の定期受診まで待たず医療機関へ相談してください。副作用が気になるときも、症状がいつから、どの程度続いているのかを伝えると診察時の判断材料になります。
副作用対策にかかる追加費用の目安
副作用への対応で追加される費用は、症状と検査・処方内容によって変わります。公的な診療報酬で金額を示せる代表例として、再診と骨密度検査があります。
【試算条件】
- 2026年度診療報酬を使用
- 70歳未満・窓口負担3割と仮定
- 1点=10円として単純計算
- 診察時の加算、検査判断料、薬剤費などは含めない
| 追加対応の例 | 診療報酬 | 3割負担(参考値) |
| 副作用について再診で相談 | 再診料76点 | 約228円+その他の診療費 |
| DEXA法による腰椎の骨密度検査 | 360点 | 約1,080円+その他の診療費 |
| 腰椎DEXAと同日に大腿骨も撮影 | 360点+90点 | 約1,350円+その他の診療費 |
参考:厚生労働省「診療報酬情報提供サービス 再診料」/厚生労働省「診療報酬の算定方法 D217 骨塩定量検査」
このほか、症状や治療内容に応じて血液検査や婦人科での検査、鎮痛薬などの処方が必要になれば費用が加わります。すべての患者が同じ検査を同じ頻度で受けるわけではないため、副作用対策の費用を一律の年間額で示すことはできません。
副作用対策を含めた費用を把握したいときは、薬剤費だけでなく、実際に受けた追加受診や検査の支払いもあわせて確認するとよいでしょう。
つらいときは自己判断で中断せず主治医に相談する
副作用がつらくても、ホルモン療法を自己判断で中断するのは避け、主治医や薬剤師に症状を伝えることが大切です。症状の種類や重さを確認したうえで、対症療法や薬剤変更、治療計画の見直しを検討できることがあります。
「副作用だから仕方がない」と我慢し続けるのではなく、ほてりや関節痛などが生活にどの程度影響しているのかを伝えましょう。症状が出る時間帯や強さをメモしておくと、診察時にも説明しやすくなります。
また、タモキシフェン服用中の不正出血や、突然の息苦しさ、胸痛、脚の腫れ・痛みなどは、通常のほてりや関節痛とは分けて考える必要があります。こうした症状があるときは速やかに医療機関へ相談してください。
治療を続ける利益と副作用による負担のバランスは一人ひとり異なります。費用面も含めて困っていることを医療者へ共有し、治療を続ける方法を一緒に検討することが重要です。
乳がんのホルモン療法の費用に関するよくある質問

ここでは、乳がんのホルモン療法の費用や治療方法についてよくある疑問に回答します。
閉経前と閉経後でホルモン療法の費用は違いますか?
閉経前と閉経後では使う薬が異なるため、費用にも差が出ます。 閉経前ではタモキシフェンなどの抗エストロゲン薬を使い、再発リスクなどに応じてLH-RHアゴニストの注射を併用します。LH-RHアゴニストとアロマターゼ阻害薬を組み合わせる治療もあります。
閉経後ではアロマターゼ阻害薬が中心で、抗エストロゲン薬も選択肢です。特に閉経前で注射を併用する場合は、内服薬のみの場合より薬剤費が高くなります。薬剤名だけでなく、注射を使うか、どのくらいの期間続ける予定なのかまで確認すると費用を見積もりやすくなります。
ホルモン療法だけの期間でも、がん保険や医療保険の給付対象になりますか?
給付対象になるかは契約内容によって異なります。 医療保険は入院や所定の手術・放射線治療を主な給付対象とする商品があり、通院だけのホルモン療法では給付されない契約もあります。
一方、がん通院給付金や所定の薬物治療を対象とする保障が付いていれば、ホルモン療法が給付条件に該当することもあります。契約している保険の約款や給付条件で「内分泌療法」「通院」「薬物治療」の扱いを確認しましょう。
ハーセプチンはホルモン療法に含まれますか?
ハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)はホルモン療法ではありません。 HER2というタンパク質を標的にする抗HER2薬で、分子標的薬に分類されます。
ホルモン受容体とHER2の両方が陽性の乳がんでは、治療計画の中でホルモン療法と抗HER2療法の両方を行うことがあります。費用を確認するときは、ホルモン療法薬とハーセプチンなどの分子標的薬を分けて考える必要があります。
抗がん剤治療とホルモン療法は何が違いますか?
ホルモン療法と細胞障害性抗がん薬では、がんへの働きかけ方が異なります。 ホルモン療法は女性ホルモンの分泌や作用を抑え、ホルモンの影響を受けて増殖する乳がんを治療します。
一方、細胞障害性抗がん薬は、がん細胞が増殖する仕組みに作用する薬です。正常な細胞にも影響するため、脱毛や骨髄抑制などホルモン療法とは異なる副作用が現れます。
どちらを使うかは乳がんのサブタイプや再発リスク、病状などを踏まえて決まり、治療計画によっては両方を異なる時期に行います。
まとめ:乳がんのホルモン療法は長期の費用見通しを立てることが大切

乳がんのホルモン療法は、術後の再発予防では5年以上続けることもあり、薬剤や治療期間によって費用が変わります。薬剤費だけでなく、再診料・調剤料・検査費も含めて確認しておきましょう。
治療費が高額になったときは、高額療養費制度を利用できることがあります。自己負担上限や申請方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
高額療養費制度とは?自己負担額や年間上限、申請方法をわかりやすく解説
治療計画とあわせて、必要な費用や利用できる公的制度を確認することが大切です。




