「生命保険料控除でいくら戻るのかわからない」「年末調整で申請するとどのくらい税金が安くなるのか知りたい」と気になっている人は多いのではないでしょうか。
生命保険料控除は、支払った保険料の全額がそのまま戻る制度ではありません。保険料の種類や契約時期、所得税率によって戻る金額は変わります。
結論として、生命保険料控除で戻る所得税は「控除額×所得税率」が目安です。所得税率10%の人が新制度の1つの控除枠で上限まで控除を受ける場合、年末調整で戻る所得税は約4,000円です。なお、住民税は還付ではなく翌年度の税額に反映されます。
本記事では、生命保険料控除でいくら戻るのか、保険料別のシミュレーションや年末調整・確定申告の方法、控除額の計算方法について、より具体的にわかりやすく解説していきます。
この記事の内容をまとめると
- 生命保険料控除は支払保険料に応じた所得控除です
- いくら戻るかは控除額と所得税率で変わります
- 年末調整で戻るのは主に払い過ぎた所得税です
- 住民税は還付ではなく翌年度の税額に反映されます
この記事の内容
生命保険料控除とは?年末調整・確定申告や仕組みを解説

ここでは、生命保険料控除の対象となる控除枠や戻る金額との関係、年末調整・確定申告での申請方法についてわかりやすく解説します。
生命保険料控除の対象となる3つの控除枠について
生命保険料控除は、生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に受けられる所得控除です。所得控除とは、税金を計算する前の所得から一定額を差し引く仕組みを指します。つまり、控除額と同じ金額がそのまま戻るわけではありません。
対象となる控除の枠は以下の3つです。
| 控除枠 | 主な対象 |
| 一般生命保険料控除 | 死亡保険などの保険料 |
| 介護医療保険料控除 | 医療保険や介護保険などの保険料 |
| 個人年金保険料控除 | 税制適格特約が付いた個人年金保険料 |
ただし、すべての保険料が対象になるわけではありません。保険期間が5年未満の生命保険などは、生命保険料控除の対象外となる場合があります。
生命保険料控除額と戻る金額の関係について
生命保険料控除でいくら戻るかは、控除額そのものではなく税額がどれだけ下がるかで決まります。控除額は税金を計算する前の所得から差し引く金額であり、還付額はすでに支払った税金のうち戻ってくる金額です。
たとえば所得税率10%の人が生命保険料控除を4万円受ける場合、所得税の軽減額はおおよそ4,000円です。
| 項目 | 考え方 |
| 所得税の目安 | 生命保険料控除額×所得税率 |
| 住民税の目安 | 住民税の控除額×住民税率10% |
| 年末調整で戻る金額 | 主に払い過ぎた所得税の還付 |
参考:国税庁「No.1140 生命保険料控除」/東京都主税局「個人住民税」
また、住民税は年末調整で現金として戻るのではなく、翌年度の住民税が軽くなる形で反映されます。つまり「生命保険料控除はいくら戻る?」と考える際は、年末調整で戻る所得税と翌年度に軽くなる住民税を分けて見ることが大切です。
年末調整・確定申告で生命保険料控除を申請する方法について
会社員や公務員は、勤務先に給与所得者の保険料控除申告書と生命保険料控除証明書を提出することで、年末調整により生命保険料控除を申請できます。年末調整とは、勤務先が1年間の給与や控除をもとに所得税を精算する手続きです。
生命保険料控除証明書は、保険会社から届く書類です。支払った保険料や新制度・旧制度の区分が記載されているため、生命保険料控除でいくら戻るかを確認する際の基本資料になります。
一方で、年末調整で申請し忘れた人や自営業者、フリーランスなどは、確定申告で生命保険料控除を申請します。
| 申請方法 | 主な対象者 | 提出先 |
| 年末調整 | 会社員・公務員など | 勤務先 |
| 確定申告 | 自営業者・申請漏れがある人など | 税務署またはe-Tax |
参考:国税庁「No.1140 生命保険料控除」/国税庁「A2-3 給与所得者の保険料控除の申告」
生命保険料控除でいくら戻るかを確認する3ステップ
生命保険料控除でいくら戻るかを確認する際は、控除証明書をもとに順番に整理すると理解しやすくなります。
| 確認する順番 | 見るポイント |
| 1 | 控除証明書で新制度・旧制度を確認する |
| 2 | 一般・介護医療・個人年金の区分を見る |
| 3 | 控除額を計算し所得税率をかける |
たとえば同じ年間8万円の保険料でも、1つの控除枠にまとまっている場合と複数の控除枠に分かれている場合では、控除額が変わる可能性があります。また、所得税率によって戻る金額の目安も異なるため、自分の保険料がどの枠に入るかを最初に確認しておくとよいでしょう。
生命保険料控除はいくら戻る?シミュレーションで解説

ここでは、新制度における生命保険料控除でいくら戻るかを保険料別のシミュレーションと上限に達するケースに分けて解説します。
保険料別に見た生命保険料控除で戻る金額の目安
生命保険料控除でいくら戻るかは、所得税率によって異なります。ここでは、新制度の保険料を1つの控除枠に支払った場合を前提に、所得税率10%で試算します。
なお、復興特別所得税は含めず、住民税は翌年度に軽くなる税額として計算しています。
| 年間保険料 | 所得税の控除額 | 年末調整で戻る所得税の目安 | 住民税の軽減目安 | 合計の税負担軽減目安 |
| 2万円 | 20,000円 | 約2,000円 | 約1,600円 | 約3,600円 |
| 3万円 | 25,000円 | 約2,500円 | 約2,100円 | 約4,600円 |
| 4万円 | 30,000円 | 約3,000円 | 約2,400円 | 約5,400円 |
| 5万円 | 32,500円 | 約3,250円 | 約2,650円 | 約5,900円 |
| 6万円 | 35,000円 | 約3,500円 | 約2,800円 | 約6,300円 |
| 8万円 | 40,000円 | 約4,000円 | 約2,800円 | 約6,800円 |
| 10万円 | 40,000円 | 約4,000円 | 約2,800円 | 約6,800円 |
| 12万円 | 40,000円 | 約4,000円 | 約2,800円 | 約6,800円 |
参考:国税庁「No.1140 生命保険料控除」/東京都主税局「個人住民税」/国税庁「No.2260 所得税の税率」
※本記事の算定式
所得税の控除額=国税庁の新制度の計算式に年間保険料を当てはめて算出
年末調整で戻る所得税の目安=所得税の控除額×10%
住民税の軽減目安=住民税の控除額×10%
合計の税負担軽減目安=年末調整で戻る所得税の目安+住民税の軽減目安
1つの控除枠につき所得税の控除額は最大4万円です。そのため、年間保険料が8万円を超えると、同じ控除枠では所得税の控除額は増えません。つまり、生命保険料控除で8万円・10万円・12万円を支払った場合でも、1つの控除枠だけで見ると戻る金額の目安は同じです。生命保険料控除でいくら戻るかを知りたい場合は、支払保険料の合計だけでなく、保険料がどの控除枠に入るかを確認する必要があります。
年収別に見た生命保険料控除で戻る金額の目安
生命保険料控除でいくら戻るかは、年収そのものではなく、課税所得に応じた所得税率によって変わります。ここでは、新制度の保険料を1つの控除枠に年間8万円支払い、所得税の控除額が上限の4万円に達している場合を前提に試算します。
| 年収の目安 | 想定する所得税率 | 年末調整で戻る所得税の目安 | 住民税の軽減目安 | 合計の税負担軽減目安 |
| 300万円 | 5% | 約2,000円 | 約2,800円 | 約4,800円 |
| 400万円 | 5% | 約2,000円 | 約2,800円 | 約4,800円 |
| 500万円 | 10% | 約4,000円 | 約2,800円 | 約6,800円 |
| 600万円 | 10% | 約4,000円 | 約2,800円 | 約6,800円 |
| 700万円 | 20% | 約8,000円 | 約2,800円 | 約10,800円 |
| 800万円 | 20% | 約8,000円 | 約2,800円 | 約10,800円 |
| 1,000万円 | 20% | 約8,000円 | 約2,800円 | 約10,800円 |
| 1,200万円 | 23% | 約9,200円 | 約2,800円 | 約12,000円 |
参考:国税庁「No.1140 生命保険料控除」/東京都主税局「個人住民税」/国税庁「No.2260 所得税の税率」
※本記事の算定式
年末調整で戻る所得税の目安=所得税の控除額40,000円×想定する所得税率
住民税の軽減目安=住民税の控除額28,000円×10%
合計の税負担軽減目安=年末調整で戻る所得税の目安+住民税の軽減目安
年収300万円・400万円では、所得税率5%で考えると、生命保険料控除で戻る所得税の目安は約2,000円です。一方で、年収500万円・600万円では約4,000円、年収1,200万円では約9,200円が目安になります。
生命保険料控除で戻る金額が上限に達するケース
生命保険料控除は、保険料を多く支払うほど無制限に戻る金額が増える仕組みではありません。
ここでいう「上限に達する」とは、それ以上保険料を支払っても、同じ控除枠では控除額が増えない状態を指します。所得税率が高い人ほど戻る金額の目安は大きくなりますが、控除額自体には上限があります。
| 前提 | 所得税で戻る目安 | 住民税の軽減目安 | 合計の税負担軽減目安 |
| 1枠だけ上限・所得税率5% | 約2,000円 | 約2,800円 | 約4,800円 |
| 1枠だけ上限・所得税率10% | 約4,000円 | 約2,800円 | 約6,800円 |
| 1枠だけ上限・所得税率20% | 約8,000円 | 約2,800円 | 約10,800円 |
| 3枠すべて上限・所得税率10% | 約12,000円 | 約7,000円 | 約19,000円 |
参考:国税庁「No.1140 生命保険料控除」/東京都主税局「個人住民税」
※本記事の算定式
1枠だけ上限の場合の所得税で戻る目安=40,000円×所得税率
1枠だけ上限の場合の住民税軽減目安=28,000円×10%
3枠すべて上限の場合の所得税で戻る目安=120,000円×10%
3枠すべて上限の場合の住民税軽減目安=70,000円×10%
年末調整で戻る金額だけを見ると、所得税率10%の場合は1枠あたり約4,000円が目安です。ただし、住民税は3枠合計の控除上限が7万円です。したがって、住民税では3枠それぞれで2万8,000円ずつ控除できるわけではありません。
生命保険料控除の新制度とは?

生命保険料控除の新制度とは、平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に適用される制度です。
旧制度では一般生命保険料控除と個人年金保険料控除の2枠でしたが、新制度では介護医療保険料控除が加わり、3つの控除枠に分かれました。
「新制度」という名前ですが、最近新しく始まった制度という意味ではありません。生命保険料控除では、平成24年1月1日を境に契約時期で扱いが分かれるため、それ以後の契約を新制度と呼びます。
| 区分 | 所得税の各枠上限 | 住民税の各枠上限 | 合計上限 |
| 新制度 | 40,000円 | 28,000円 | 所得税120,000円・住民税70,000円 |
| 旧制度 | 50,000円 | 35,000円 | 所得税100,000円・住民税70,000円 |
参考:国税庁「No.1140 生命保険料控除」/東京都主税局「個人住民税」
新制度では1枠あたりの所得税の上限は4万円ですが、3枠すべてを合計した所得税の上限は12万円です。
また、23歳未満の扶養親族がいる場合、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の所得税側の控除額が一部見直されています。令和8年度税制改正により、この特例の適用期限は令和9年分まで延長されています。
具体的には、令和8年においては、対象者の新生命保険料に係る一般生命保険料控除は以下の計算になります。
| 年間の新生命保険料 | 令和8年分の控除額 |
| 30,000円以下 | 新生命保険料の全額 |
| 30,000円超60,000円以下 | 新生命保険料×1/2+15,000円 |
| 60,000円超120,000円以下 | 新生命保険料×1/4+30,000円 |
| 120,000円超 | 一律60,000円 |
参考:財務省「令和7年度税制改正の大綱の概要」/財務省「令和8年度税制改正の大綱」
ただし、一般生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除の合計適用限度額は12万円となっています。
生命保険料控除の控除額の計算方法を解説

ここでは、新制度・旧制度・新制度と旧制度が混在する場合に分けて、生命保険料控除の控除額を計算する方法を解説します。
新制度における生命保険料控除額の計算方法について
新制度は、平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に適用されます。所得税では、一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料のそれぞれで控除額を計算し、各枠の上限は4万円です。
| 年間の支払保険料等 | 所得税の控除額 |
| 20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
| 20,000円超40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
| 40,000円超80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
| 80,000円超 | 一律40,000円 |
たとえば新制度の一般生命保険料を年間6万円支払った場合、控除額は「60,000円×1/4 + 20,000円」で35,000円です。生命保険料控除でいくら戻るかは、この控除額に本人の所得税率をかけて考えます。保険料6万円がそのまま戻るわけではない点に注意が必要です。
旧制度における生命保険料控除額の計算方法について
旧制度は、平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に適用されます。旧制度では、一般生命保険料と個人年金保険料の2枠が対象で、所得税の控除上限はそれぞれ5万円です。
| 年間の支払保険料等 | 所得税の控除額 |
| 25,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
| 25,000円超50,000円以下 | 支払保険料等×1/2+12,500円 |
| 50,000円超100,000円以下 | 支払保険料等×1/4+25,000円 |
| 100,000円超 | 一律50,000円 |
旧制度は新制度より1枠あたりの上限が大きい一方、介護医療保険料控除という独立した枠はありません。現在の控除証明書に「旧制度」「旧生命保険料」などの記載がある場合は、新制度とは計算式が異なると理解しておくとよいでしょう。
新制度と旧制度が混在する場合の計算方法について
新制度と旧制度が混在するとは、平成23年12月31日以前の契約と、平成24年1月1日以後の契約の保険料を同じ年に支払っている状態です。この場合は、控除枠ごとにどの計算方法が有利かを確認します。
一般生命保険料控除と個人年金保険料控除では、新旧両方を合算して計算する場合の上限は所得税で4万円です。一方で、旧契約だけで計算する場合は、所得税で最大5万円の控除を受けられます。
| 旧契約の年間保険料 | 基本的な考え方 |
| 60,000円超 | 旧契約だけで計算した方が控除額が大きくなりやすい |
| 60,000円以下 | 新契約と旧契約を合算する選択肢がある |
| 新旧を合算する場合 | 各控除枠の上限は所得税で40,000円 |
参考:国税庁「旧生命保険料と新生命保険料の支払がある場合の生命保険料控除額」/国税庁「No.1140 生命保険料控除」
たとえば旧契約だけで5万円の控除を受けられる場合、新旧を合算して4万円に抑えるより、旧契約のみで申告した方が控除額は大きくなります。控除証明書に新旧両方の記載がある場合は、単純に保険料を足すのではなく、控除枠ごとに確認することがポイントです。
生命保険料控除でいくら戻るかに関するよくある質問

ここでは、生命保険料控除でいくら戻るかに関してよくある質問に回答します。
生命保険料控除はいつ戻りますか?
会社員や公務員が年末調整で申請した場合、生命保険料控除による所得税の還付は、一般的に年末から翌年1月ごろの給与に反映されます。
ただし、実際の時期は勤務先の給与計算スケジュールによって異なります。住民税は還付ではなく、翌年度の税額に反映されます。
パートや年金受給者だと生命保険料控除はいくら戻りますか?
パートや年金受給者でも、所得税や住民税が課税されていれば、生命保険料控除により税負担が軽くなる場合があります。生命保険料控除でいくら戻るかは、支払った保険料だけでなく課税される所得や所得税率によって変わります。
一方で、もともと所得税がかかっていない人は、年末調整や確定申告をしても所得税の還付が発生しにくいです。そのため、パートや年金受給者が生命保険料控除でいくら戻るかを確認する際は、所得税が課税されているかどうかを先に確認することが大切です。
年末調整の保険料控除はいつまでですか?しないとどうなりますか?
保険料控除申告書は、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに勤務先へ提出する書類です。勤務先ごとに社内締切は異なるため、実務上は会社から案内された期限に合わせます。
年末調整で生命保険料控除を申請し忘れた場合はどうなりますか?
年末調整で生命保険料控除を申請し忘れた場合でも、確定申告で申請すれば控除を受けられる可能性があります。会社員などで確定申告の義務がない人でも、納め過ぎた所得税がある場合は還付申告によって所得税の還付を受けられます。
還付申告は、対象となる年の翌年1月1日から5年間提出できます。そのため、年末調整で出し忘れたからといって、必ずその年の控除を受けられなくなるわけではありません。
確定申告で生命保険料控除を申請するといくら戻りますか?
確定申告で生命保険料控除を申請した場合も、税負担がどの程度軽くなるかの考え方は年末調整と同じです。所得税の軽減目安は「生命保険料控除額×所得税率」で計算できます。
ただし、実際に還付されるかどうかは、源泉徴収税額や予定納税額、ほかの所得・控除の状況によって異なります。給与所得者が年末調整で申請し忘れた場合は還付になることがありますが、自営業者などでは、還付ではなく納付する所得税が少なくなる形で反映される場合もあります。
生命保険料控除は電子データやマイナポータル連携で申告できますか?
生命保険料控除は、電子的控除証明書やマイナポータル連携を使って申告できる場合があります。
国税庁では、保険会社などから交付された電子的控除証明書をe-Taxで送信できるほか、年末調整でも給与の支払者へ電子的に提出できる仕組みを案内しています。また、マイナポータル連携を利用すると、控除証明書等のデータを取得し、年末調整申告書などに自動入力できる場合があります。
まとめ:生命保険料控除でいくら戻るかはシミュレーションで確認

生命保険料控除でいくら戻るかは、支払った保険料の合計額だけでは判断できません。契約が新制度か旧制度か、どの控除枠に該当するか、本人の所得税率が何%かによって戻る金額は変わります。
年末調整で戻るのは主に払い過ぎた所得税であり、住民税は翌年度の税額が軽くなる形で反映されます。まずは控除証明書の区分と年間保険料を確認し、控除額を計算したうえでいくら戻るのかシミュレーションすると目安を把握しやすくなります。




