「遺族年金はいくらもらえるのかわからない」「妻や夫、子供が受け取れる金額を知りたい」と悩んでいる人も中にはいるでしょう。
遺族年金の金額は、亡くなった方の加入していた年金制度と、遺族に対象年齢の子がいるかどうかで大きく変わります。令和8年度(2026年度)の遺族基礎年金は、子のある配偶者が受け取る場合、年額847,300円に子の加算額を上乗せして計算します。子1人なら年額1,091,100円、子2人なら年額1,334,900円が目安です。遺族厚生年金は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が基本です。
ただし、実際の受給可否や金額は、亡くなった方の保険料納付状況、厚生年金の加入期間、遺族の年齢、生計維持関係などによって変わります。
そこで本記事では、遺族年金をもらえる人の条件や金額早見表、家族構成別のシミュレーションをもとに具体的に解説していきます。
この記事の内容をまとめると
- 遺族年金は遺族基礎年金と遺族厚生年金に分かれる
- 国民年金のみの場合は子供の有無で金額が変わる
- 遺族厚生年金は報酬比例部分をもとに計算する
- 65歳以上は自分の年金との調整も確認が必要
この記事の内容
遺族年金とは?もらえる人の条件や制度について解説

ここでは、遺族年金をもらえる人の支給条件や、遺族基礎年金と遺族厚生年金の違いを整理します。
遺族基礎年金とは?国民年金の遺族年金をもらえる人
遺族基礎年金とは、国民年金の被保険者などが亡くなったときに、条件を満たす遺族が受け取れる年金です。国民年金の被保険者や、60歳以上65歳未満で日本国内に住所がある元被保険者、老齢基礎年金の受給権者などが亡くなった場合に対象となります。
受け取れるのは、原則として子のある配偶者または子です。ここでいう子とは、18歳になった年度の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子を指します。そのため、子なしの配偶者は遺族基礎年金の対象外です。
たとえば、自営業の夫が亡くなり妻と小学生の子どもが残された場合は、妻が遺族基礎年金を受け取れる可能性があります。一方で、夫婦のみの世帯で子どもがいない場合、遺族基礎年金は原則として受け取ることができません。
なお、遺族基礎年金を受け取るには、亡くなった方の保険料納付状況や、遺族が生計を維持されているかもチェックされます。
遺族厚生年金とは?会社員・公務員の遺族年金をもらえる人
遺族厚生年金とは、厚生年金に加入していた会社員や公務員などが亡くなった場合に、条件を満たす遺族が受け取れる年金です。厚生年金の被保険者期間中に亡くなった場合や、老齢厚生年金の受給権者などが亡くなった場合に対象となります。
受け取れる遺族は、死亡した方に生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母などです。遺族基礎年金を受け取れる遺族は、遺族厚生年金も支給される可能性があります。
たとえば、会社員の夫が亡くなった場合、妻や子どもは遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金を受け取れる可能性があります。一方で、亡くなった方が国民年金のみだった場合は、遺族厚生年金の対象にはなりません。
子のない30歳未満の妻が受け取れる期間は、原則として5年間です。また、夫・父母・祖父母は、亡くなった方の死亡時に55歳以上であることが要件となり、支給は原則60歳から始まります。なお、夫が遺族基礎年金を受給している場合は、60歳未満でも遺族厚生年金を受け取れます。
遺族年金の条件は死亡した人と遺族の条件で決定する
遺族年金の支給可否は、亡くなった方の年金加入状況と、遺族側の続柄・年齢・生計維持関係で決まります。

参考:日本年金機構「遺族年金」
たとえば、亡くなった方が会社員で厚生年金に加入しており、妻と対象年齢の子どもが生計を維持されていた場合は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が関係する可能性があります。反対に、子どもがいない配偶者で、亡くなった方が国民年金のみだった場合は、受け取れる遺族年金が限られます。
遺族年金はいくらもらえるかを見る前に、まず受給要件に該当するかを押さえることが大切です。亡くなった方と遺族の条件を分けて考えると、自分のケースに近い制度を把握しやすくなるでしょう。
遺族年金はいくらもらえる?金額早見表とシミュレーションで解説

ここでは、遺族年金はいくらもらえるかを金額早見表で整理し、妻・夫・子供のケース別にシミュレーションしていきます。
遺族基礎年金はいくらもらえる?国民年金のみの金額早見表
遺族基礎年金の金額は、子のある配偶者が受け取る場合、基本額に子の加算額を足して計算します。令和8年度の基本額は、昭和31年4月2日以後生まれの配偶者で年額847,300円、昭和31年4月1日以前生まれの配偶者で年額844,900円です。
子の加算額は、1人目・2人目がそれぞれ年額243,800円、3人目以降は1人あたり年額81,300円です。
前提条件:
- 亡くなった方が遺族基礎年金の支給要件を満たしている
- 受け取る人が子のある配偶者である
- 配偶者は昭和31年4月2日以後に誕生した
- 子供は遺族基礎年金の対象年齢である
| 子の人数 | 子のある配偶者が受け取る年額の目安 | 月額換算の目安 |
| 1人 | 847,300円+243,800円=1,091,100円 | 約90,925円 |
| 2人 | 847,300円+243,800円×2=1,334,900円 | 約111,242円 |
| 3人 | 847,300円+243,800円×2+81,300円=1,416,200円 | 約118,017円 |
| 4人 | 847,300円+243,800円×2+81,300円×2=1,497,500円 | 約124,792円 |
参考:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
上記は、昭和31年4月2日以後生まれの配偶者が受け取る場合の目安です。昭和31年4月1日以前生まれの配偶者は基本額が年額844,900円となるため、表より年額2,400円少なくなります。
国民年金のみで遺族年金はいくらもらえるかを確認する場合、子供の有無が重要です。子なしの配偶者は、原則として遺族基礎年金を受け取れません。
また、子だけが受け取る場合は「847,300円+2人目以降の子の加算額」を子の人数で割った金額が、子1人あたりの年金額になります。たとえば、子1人のみなら年額847,300円、子2人のみなら1人あたり年額545,550円です。
遺族厚生年金はいくらもらえる?会社員・公務員の金額早見表
遺族厚生年金の金額は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。年金総額ではなく、老齢基礎年金部分を除いた報酬比例部分をもとに決まります。
前提条件:
- 亡くなった方が遺族厚生年金の支給要件に入っている
- 受け取る人が遺族厚生年金の対象者である
- 65歳以上の老齢厚生年金との調整は考慮しない
- 下表は報酬比例部分をもとに計算している
| 亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分 | 遺族厚生年金の年額目安 | 月額換算の目安 |
| 400,000円 | 300,000円 | 約25,000円 |
| 600,000円 | 450,000円 | 約37,500円 |
| 800,000円 | 600,000円 | 約50,000円 |
| 1,000,000円 | 750,000円 | 約62,500円 |
| 1,200,000円 | 900,000円 | 約75,000円 |
参考:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
たとえば、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分が年額800,000円の場合、遺族厚生年金は「800,000円×3/4=600,000円」です。月額に換算すると「600,000円÷12か月=約50,000円」となります。
遺族厚生年金の金額は、亡くなった方の老齢厚生年金全体ではなく、老齢基礎年金部分を除いた「報酬比例部分」をもとに計算します。また、厚生年金加入中の死亡など一定の場合は被保険者期間が300月未満でも300月として計算されます。
妻はいくらもらえる?夫死亡時の子供あり・子なしの場合
夫死亡時に妻が遺族年金をいくらもらえるかは、子供の有無で大きく変わります。ここでは、夫の報酬比例部分を年額800,000円と仮定し、遺族厚生年金を年額600,000円として計算します 。
前提条件:
- 夫が遺族基礎年金・遺族厚生年金の支給要件を満たしている
- 妻は夫に生計を維持されていた
- 妻は昭和31年4月2日以降に生まれた
- 子供は遺族基礎年金の対象年齢であること
- 妻自身の老齢厚生年金との調整は含めない
| 妻の状況 | 受け取れる主な年金 | 年金額の計算 | 年額の目安 |
| 妻+子1人 | 遺族基礎年金+遺族厚生年金 | 1,091,100円+600,000円 | 1,691,100円 |
| 妻+子2人 | 遺族基礎年金+遺族厚生年金 | 1,334,900円+600,000円 | 1,934,900円 |
| 妻+子3人 | 遺族基礎年金+遺族厚生年金 | 1,416,200円+600,000円 | 2,016,200円 |
| 子なし妻・40歳未満 | 遺族厚生年金 | 800,000円×3/4 | 600,000円 |
| 子なし妻・40歳以上65歳未満 | 遺族厚生年金+中高齢寡婦加算 | 600,000円+635,500円 | 1,235,500円 |
参考:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
子供がいる妻は、遺族基礎年金と遺族厚生年金をあわせて受け取れる場合があります。一方で、子なしの妻は遺族基礎年金の対象外です。
また、40歳以上65歳未満の妻は中高齢寡婦加算の対象になる場合があります 。
夫や子供はいくらもらえる?妻死亡時・配偶者なしの場合
妻死亡時に夫や子供が遺族年金をいくらもらえるかは、夫の年齢と子供の有無で変わります。夫が遺族厚生年金を受け取るには、原則として死亡当時55歳以上であることが必要です。
前提条件:
- 妻が遺族基礎年金・遺族厚生年金の支給要件を満たしている
- 夫または子供が妻に生計を維持されていた
- 子供は遺族基礎年金の対象年齢である
- 妻の報酬比例部分を年額800,000円と仮定する
- 夫が遺族厚生年金を受け取るケースでは死亡当時55歳以上とする
| 受け取る人 | 主な条件 | 年金額の計算 | 年額の目安 |
| 夫+子1人 | 遺族基礎年金の対象 | 847,300円+243,800円 | 1,091,100円 |
| 夫+子2人 | 遺族基礎年金の対象 | 847,300円+243,800円×2人 | 1,334,900円 |
| 55歳以上の夫 | 遺族厚生年金の対象になる場合あり | 800,000円×3/4 | 600,000円 |
| 55歳以上の夫+子1人 | 遺族基礎年金+遺族厚生年金 | 1,091,100円+600,000円 | 1,691,100円 |
| 子1人のみ | 子が遺族基礎年金を受給 | 847,300円÷1人 | 847,300円 |
| 子2人のみ | 子が遺族基礎年金を受給 | 1,091,100円÷2人 | 545,550円 |
参考:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
子のない夫は、55歳以上である方に限り遺族厚生年金の対象となり、受給開始は原則60歳からです。また、配偶者がいない場合は、子供が遺族基礎年金を受け取れる場合があります 。
65歳以上の妻はいくらもらえる?自分の年金との調整
65歳以上で、自分の老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方を受け取る権利がある場合、まず自分の老齢厚生年金は全額支給されます。
そのうえで、遺族厚生年金は、自分の老齢厚生年金に相当する額が支給停止されます。
なお、遺族厚生年金の額は、原則の「亡くなった方の報酬比例部分×4分の3」と、「亡くなった方の報酬比例部分×2分の1+自分の老齢厚生年金×2分の1」を比較して、高い方で判定されます。自分の老齢厚生年金のほうが遺族厚生年金額を上回る場合、遺族厚生年金は全額支給停止となります。
前提条件:
- 妻が65歳以上である
- 妻に自分の老齢厚生年金がある
- 夫の報酬比例部分を年額800,000円と仮定する
- 妻自身の老齢厚生年金を年額300,000円と仮定する
| 項目 | 計算 | 金額 |
| 原則の遺族厚生年金 | 800,000円×3/4 | 600,000円 |
| 支給停止後の遺族厚生年金 | 600,000円-300,000円 | 300,000円 |
| 厚生年金部分の合計 | 老齢厚生年金300,000円+調整後300,000円 | 600,000円 |
参考:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」 日本年金機構「年金の併給または選択」
「遺族年金と自分の年金は両方もらえるのか」と疑問に感じる場合は、老齢基礎年金、老齢厚生年金、遺族厚生年金を分けて確認することが大切です。実際の支給額は、妻自身の厚生年金額によって変わります。
遺族年金の金額が少ない場合に利用できる制度や備え方

ここでは、遺族年金の金額が少ない場合に確認したい制度や、生活費への備え方について解説していきます。
遺族年金生活者支援給付金を利用できる場合がある
遺族基礎年金を受け取っていて所得要件を満たす場合、遺族年金生活者支援給付金を受け取れる可能性があります。令和8年度の給付額は月額5,620円です。
| 項目 | 内容 |
| 対象者 | 遺族基礎年金を受け取っている人 |
| 所得要件 | 前年所得が一定額以下 |
| 給付額 | 月額5,620円 |
| 年額換算 | 5,620円×12か月=67,440円 |
遺族年金の金額を確認するときは、遺族基礎年金や遺族厚生年金だけでなく、支援給付金の対象になるかも見ておくとよいでしょう。ただし、2人以上の子が受け取る場合は、給付額を子の人数で割って支給されます。
死亡一時金や寡婦年金・中高齢寡婦加算を確認する
遺族年金の金額が少ない場合は、死亡一時金や寡婦年金、中高齢寡婦加算も確認したい制度です。

死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者として一定期間保険料を納付した方が亡くなった場合に、遺族が受け取れる一時金です。金額は保険料を納付した期間に応じて、12万円〜32万円が目安となります。
寡婦年金は、一定の要件を満たす妻が受け取れる年金です。金額は、夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3です。
中高齢寡婦加算は、一定の条件を満たす40歳以上65歳未満の妻に加算される制度です。令和8年度の金額は、年額635,500円です。
いずれも対象者や併給の可否に条件があるため、遺族年金の金額だけでなく、利用できる制度がないかもあわせて確認することが大切です。
遺族年金で不足する生活費は生命保険や貯蓄で備える
遺族年金は遺族の生活を支える制度ですが、家賃や教育費、住宅ローンなどをすべてまかなえるとは限りません。特に、子なしの配偶者や国民年金のみの世帯では、受け取れる遺族年金が限られる場合があります。
| 確認する項目 | 内容 |
| 毎月の生活費 | 食費、家賃、通信費、光熱費など |
| 今後の大きな支出 | 教育費、住宅ローン、介護費など |
| 公的給付 | 遺族年金、給付金、一時金など |
| 自分で備える部分 | 貯蓄、勤務収入、生命保険など |
不足額は、生活費から公的給付や貯蓄を差し引いて考えます。必要な備えは家族構成や住居費によって異なるため、まずは公的年金で受け取れる金額を確認することが重要と言えます。
遺族年金を請求するときは必要書類と時効も確認する
遺族年金を受け取るには、年金請求書や戸籍関係書類などを提出して請求手続きを行う必要があります。遺族厚生年金の請求書は、年金事務所や街角の年金相談センターにも備え付けられています。
また、年金を受ける権利は、権利が発生してから5年を経過すると時効で消滅する場合があります。請求が遅れると受け取れる金額に影響する可能性があるため、必要書類や請求先を早めに確認しておくことが大切です。
遺族年金はいくらもらえるかに関するよくある質問

ここでは、遺族年金はいくらもらえるかに関する質問に一問一答形式で答えていきます。
65歳以上の妻は遺族年金と自分の年金を両方もらえる?
65歳以上の妻は、老齢基礎年金と遺族厚生年金をあわせて受け取れる場合があります。ただし、妻自身の老齢厚生年金がある場合は、遺族厚生年金との調整があります。実際の受給額は自分の厚生年金額によって変わります。
中高齢寡婦加算は遺族年金に上乗せされますか?
一定の条件を満たす妻には、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が上乗せされます。令和8年度は年額635,500円です。主に40歳以上65歳未満で、遺族基礎年金を受け取れない妻などが対象です。
遺族年金に税金はかかる?
遺族年金には所得税および復興特別所得税はかかりません。そのため、遺族年金については公的年金等の源泉徴収票も送付されません。ただし、老齢年金は税金の対象になる場合があります。
2028年の制度改正で遺族年金の金額や条件は変わりますか?
2028年4月に、遺族厚生年金の見直しが予定されています。主な見直しは、子のない配偶者に対する遺族厚生年金について、男女差を解消する方向で行われるものです。
ただし、既に遺族厚生年金を受け取っている人、60歳以降に受給権が発生する人、18歳年度末までの子どもを養育している人、2028年度に40歳以上になる女性などは、原則として影響を受けないとされています。
この記事で紹介している金額や条件は、現行制度と令和8年度の年金額をもとにした目安です。将来請求する場合は、施行後の制度内容も確認しましょう。
遺族年金はいくらもらえるかを早見表やシミュレーションで確認しよう

遺族年金はいくらもらえるかは、遺族基礎年金と遺族厚生年金のどちらを受け取れるかで変わります。国民年金のみの場合は、子供の有無が金額に大きく影響し、会社員や公務員だった方が亡くなった場合は、遺族厚生年金を報酬比例部分から計算する必要があります。
妻が受け取る場合でも、子なし・子供あり・65歳以上で確認点は異なります。夫や子供が受け取る場合は、妻死亡時の年齢要件や優先順位も重要です。まずは早見表やシミュレーションで目安を確認し、必要に応じて年金事務所やねんきんネットで個別の金額を確認するとよいでしょう。
本記事の年金額は、令和8年度(2026年度)の公表額をもとにした目安です。実際の受給可否や金額は、亡くなった方の加入状況、保険料納付状況、厚生年金の加入期間、遺族の年齢や生計維持関係などによって異なります。個別の金額は、年金事務所やねんきんネットなどでチェックするようにしましょう。




